クローズZERO

trifle2007-11-30

http://www.crows-zero.jp/index.html
学生の頃、何気なく借りた原作がすごくおもしろくて、めっちゃはまった。すごい好きになって、男の子っていいなあって、思って。暴力とかそうゆうのがうらやましいわけじゃなくて、みんなの関係がすごくうらやましくて。男の子ならではの関係なんだなあと、思った。なぜだか、貸してくれた子やその他のわたしの周りの男の子たちまでもが、なんだかすごくうらやましく思えて。拳と拳のぶつかりあいで友情関係を築くなんてことは、女の子には絶対にないことで。だからこそ、なんだかよくわからない世界が、すごく素敵なもののように見えた。だから、わたしにとってクローズの世界というのは、きらきらと輝いた手の届かないものだったのだ。すごく、すごく、好きだからこそ、映画になると聞いたときはほんとうにうれしかった。その反面、クローズの世界を映像化なんてできるんだろうかという不安もあった。自分の憧れの世界を壊さないでほしいと、切に願っていた。だからこそ、観ないほうがいいのかもなあと思ったりもしたのだけれど。いくら、春道が転校してくる前のオリジナルな話といっても、クローズと銘打っている限りは、わたしが好きなクローズなのだ。公開してからも悩みに悩んでいたけれど、先日観に行ったともだち(クローズ好き男子)の「よかった!」の一言が、背中を押してくれたのだ。
ところどころにつっこみどころはあるけれど、総じてよかった。確かに、よかった。高橋ヒロシさん、いまさらよく映画化なんて許さはったなあと思ったけれど、これはその価値有り。まあ、許可してからの進行だったとは思うんだけど。三池崇史、最高。やべきょうすけ、最高。根気よく説得し続けてくれたやべさんのナイスっぷりもさることながら、三池監督はよくぞここまでに仕上げてくれた。完全オリジナルストーリーといいつつも、原作クローズの世界を損なわずに、新たな世界を生みだしている。「殺し屋1」のときはさすがにグロすぎる!とも思ったんだけど、今回は過激な暴力シーンをやりすぎてグロすぎないギリギリのラインで撮られている。もう一歩踏み込んじゃうと、目を背けてしまう、でもそうじゃない危うさでこっちの世界にいる。それでいて、迫力がある。しかも、喧嘩ばかりの荒くれたなかにも、おもしろおかしくコミカルなシーンもあって。始終、自然と拳をぎゅっと握りしめてしまうような緊張感ばかりじゃなく、クスリと笑える脱力感もあることによって、喧嘩のシーンがさらに迫力を増す。
クローズの世界というのは、高校生の喧嘩や抗争、てっぺんの取り合いを描いたものだ。男臭さと青臭さオンリーといっても過言でない。だから、なんでヤクザや女が出てくるねん!そんなんいらんねん!とすごく思っていたのだけれど(これらのせいで観る気が失せていたのは事実)、観てこれはこれでありかなあと思った。主役源治、敵芹沢、なはずなのに、そこはやっぱりクローズの世界で。ほんとうに悪いヤツなんていない、敵であるはずの芹沢も実は友情に厚い結構いいヤツ。芹沢って、いい役柄だったなあ。源治よりもおいしくない?キャラ設定的にいったら、芹沢が主役でもおかしくないくらい。貧乏人で友情に厚くて慕っている仲間もいてめっちゃ強くて。そうゆうヒーロー的な存在を、源治という目線で観ているような感覚。これはなかなかおもしろい。うまく脚本ができてるなと、思った。あと、賛否両論な芹沢軍団対GPSのクライマックスのルカの歌と映像。歌自体はあってよかったなあと思う。スローなテンポに迫力のある喧嘩。メリハリが利いててよかったのだけれど、あれほど映像はいらなかった・・・。一瞬、PV?と思うほどの長回し。ワンカットで挿入くらいでよかったのに。
キャストがこれまたよかったなあ。滝谷源治を演じる小栗旬も、芹沢多摩雄を演じる山田孝之も。山田君のあのいっちゃってる目が、すごい。一見ひょうひょうとしているんだけれど、据わった目つきに、尋常じゃなく恐怖を感じる。それでいて、時生への友情というか、愛情に近いものがある感情もうまく表現されていて、ヤバイだけのヤツじゃないんだあって、思える。あらためて、山田君って演技うまいんやなあって思った。実は山田君そんなに好きじゃなかったので、なんかすごく印象に残ってる。小栗君は、やっぱりこうゆう熱い役のほうが好きだな。期待通りって感じだったけど、よかった。主役がきちんと主役らしかったからこそ、他のキャストがいきていて。原作じゃヒロミが一番好きなのだけれど、まあ合格ライン?マコのみつあみには泣きそうになったけど。なんでみつあみ??これはこれでコミカルさを演出したかったのかなあとも思うし。「マコの髪の毛切らせる」ってセリフが何度も出てきたんだけどねえ、でもみつあみは・・・。他にも個性的な脇役ばかりで存在感もあって、それぞれみんなよかった。まあ、やっぱりやべさんは最高でした。クローズに対する思い入れもハンパないだろうけど、演技もハンパない。へたれた情けない男が、源治に出会い、弱いながらも筋を通そうとする姿が、ほんとうに見事。それでいて愛すべき存在な感じが、やべさんだからこそすごくリアルで。
最後のリンダマンとの決闘シーン。映画ZEROから原作クローズへと繋がる感じがして、なんだかうれしかったし、いい演出だなあと思う。だからといって、続編を希望しているわけではないけれど、それからクローズの春道の世界がはじまるのだと思うと、なんだか余計に愛着が湧いてきた。きわめつけが、高橋さんがちょこっと登場されていて、そのシーンでかなりテンションあがった。
迫力ある大スクリーンで観てよかったと、素直に思える映画です。