木村伊兵衛のパリ・Paris

写真といえば、木村伊兵衛さんをはずすことはできない。写真にそれほど興味がなく詳しくない人でも、木村伊兵衛写真賞は聞いたことがあると思う。写真界の芥川賞と言われることもあり、若手写真家の登竜門的存在。毎年、受賞者をたのしみにしてます。
木村さんのお写真は、懐かしくてとても「粋」だ。ほんとうに瞬間を切り取るのがお上手で、いつ見ても新鮮で自然で、生が溢れている。すごく温度を感じる写真だ。木村さんのお写真を拝見するたびに、わたしはやっぱりスタジオなんかで撮ったポーズきめきめの写真よりも、スナップ写真のほうが好きなんだなと思う。木村さんの言葉でとても印象深く、納得し、いつかはそうなりたいと思った言葉がある。「写真は被写体が来てからカメラを向けてたのでは遅くて、その場に自分が溶け込めば被写体が来るのがわかる」というようなニュアンスの言葉。あと、「気楽に写してたんでは写真の本質がわからなくなる。苦しむことによって、写るようになる」というような言葉からわかる写真に対する真摯な姿勢が好きです。
先頃、写真集が出版されたのですが、それに連動する写真展が2ヶ所で開催されます。モノクロ写真展「Paris」は、ライカ銀座店にて、10月25日から2007年1月21日まで。カラー写真展「木村伊兵衛のパリ」は、メゾンエルメス8階フォーラムにて、10月28日から2007年1月21日まで。ちなみにメゾンエルメスは、レンゾ・ピアノ設計。全面ガラスブロックで、さまざまな街の表情を映しこんで華やかで美しい。同じ題材であるパリをモノクロとカラー両方で味わえるので、対比してみるのもたのしそう。どちらも東京なのが、ほんとうにうらめしい!

木村伊兵衛のパリ

木村伊兵衛のパリ