フラガール

trifle2006-10-01

映画『フラガール』オフィシャルサイト
じつはこれ、それほど観に行くつもりじゃなかったのだけれど。せっかく「映画の日」なので何か観ようと思って映画館に行ったら、これがちょうど上映するところだったというだけの話なのです。他にも観たいのあったけど、また今度。
なので、それほど情報も仕入れてなかったし、期待もうっすらだったのだけれど、正直よかった。たんに「フラダンスに捧げた青春の日々!」ぐらいにしか思ってなかったんだけど。常磐ハワイアンセンターというものが存在したことなんて知らなかったし、正直昭和40年代の常磐炭鉱についてもよく知らなかった。時代の変化と共に炭坑が閉鎖になっていったということは知っていたけれど、それも近代史の一部としてしか記憶にない。実際にその時代の人々がどんなことを思って、どんな活動をしていたのかなんて、考えたこともなかった。昭和40年なんて、それほど昔でもない。けれど、現代を生きているわたしにとっては、歴史の一部。いうなれば、関ヶ原の戦いやら明治維新なんかとも変わらないくらい実感がなかった。そんなふうに思っていたのだけれど、案外身近な題材だった。変わりゆくもの、変わらないもの、変われないもの。自分がどの存在になれるのかはわからないけれど、時代が変化に伴ってそれぞれの意志がある。どれが正しいというわけではないけれど。それぞれの想いが丁寧に描かれていて、じれったく思いながらも納得したり。欲を言えば、そうゆう時代背景な部分をもっともっと掘り下げてほしかった。触り程度だと思うので、ちょっと消化不良。2時間という短い時間に、フラダンスをはじめるところからハワイアンセンターのオープンまでを描かなければならないから早足なのはわかるけど、できれば少女たちの苦労や頑張りをもっと描いてほしかった。あれよあれよという間にオープンだったので。
役者さんが、それぞれほんとうにはまり役だった。松雪泰子さんは、ちょっと落ちぶれて荒れ狂ったどうしようもない女という役がすごく上手だったし、蒼井優ちゃんの意志の強い少女もよかったし、富司純子さんの凛とした昭和の女性はぴったりだった。しずちゃんも、実は所詮旬の芸人が話題作りにちょっと出てみましたーって程度なんやろ!と思ってたけれど、かなりよかったです。予想じゃ落ち担当だと思っていたのに、意外にも泣かせ担当。まんまとやられた。蒼井優ちゃんは「花とアリス」でバレエを踊るシーンでもすごくきれいだったけれど、こちらはもっと生きている感じがした。母に見られながら踊るシーンは、その存在感と無言の演技力に圧倒された。
この映画の一番の見所は、やっぱりフラダンス。たった3ヶ月の特訓で、ほんとうのフラガールかのように思えるほど見事だった。松雪泰子さんも蒼井優ちゃんもすばらしかった。フラダンスはとても優雅に見えるけれど、ほんとうはものすごく大変で体力のいる踊りなんだと、以前なにかで聞いたことがある。だけど、フラを踊る少女たちはすごく楽しそうで笑顔を絶やさない。どんなに哀しいことがあっても、プロのダンサーは舞台で堂々と踊らなければならないのだ。それぞれの切ない思いがスクリーンからひしひしと伝わってきて、涙せずにはいられなかった。近頃、泣かしたるぜ!って感じの映画が多くて、あまのじゃくなわたしは泣いてたまるか!と思うのだけれど、やっぱり泣いてしまった。