宵山と浴衣とコンチキチン

trifle2006-07-16

浴衣姿がすてきに見えるのは、男も女もいっしょなわけで。普段、見慣れない姿にどきりとする。なんだって浴衣姿の男の子というのは、いつもの3割増しもかっこよく見えるのだろう。甚平さんよりも断然浴衣。浴衣男子って、すてきすぎる。やっぱり、いいな。自分で帯を結んだという器用さには笑えたけれど。毎年、浴衣男子が見たいがために、この時期が待ち遠しい。となりに並ぶのも、誇らしい気分。いちばん素敵やよね!と、冗談半分、本気半分で思う。もらった団扇を背中の帯の部分に差してあげると、なんだか得意気な顔をしている。「一生、そのまんまでいてほしい!」と言うと、「じゃあ、あんたもね。いつもより、おしとやかなんやもん」と、悪ガキみたいにしてやったりと、にやりと笑う。
ときおり、小雨に降られながら歩いては山鉾を見上げて、また歩いては山鉾を見上げる。ゆったりとした人の流れに、ただ身をまかせるように、そぞろ歩き。いくつもの山鉾を巡って、ぎゅうぎゅうとむせかえるような人の多さに辟易して、おなかが減ったと避難場所を探す。あれだけ屋台で食べたのに、別腹とでもいうかのように、がっつり食べる。食べていると、ちょうど山鉾でお囃子隊の男の人たちが演奏しはじめたみたいで、コンチキチンとお囃子の音が鳴り響く。山鉾のすぐ近くだったこともあって、お店の中にまでコンチキチンの音が聞こえる。その音を聞きながら、涼やかなお店で飲むお酒は格別で、いい気分でほろ酔いに。小休憩のあと、また宵山の街へとくりだす。あいかわらず人は多くてぎゅうぎゅうと押しつぶされそうだったけれど、すこし暑さがゆるやかになっていた。また人の波にまぎれて、コンチキチンに酔いしれながら山鉾を巡り歩く。11時すぎ、歩行者天国の四条ともお別れ。またここが、こんなにもの人でいっぱいになるのは、来年の今頃だろうな。来年も変わらずここへ来るんだろうなと、暑さとお酒でぼんやりしたあたまで漠然と思う。