花よりもなほ

trifle2006-06-11

『花よりもなほ』オフィシャルサイト
是枝裕和監督好きやし、岡田准一ラヴやし。なによりも、是枝さんの時代劇なんて、観なあかんやろ!ってことで。
是枝さんは、もうずっと好きで「幻の光 [DVD]」から観続けている。このひとに撮らせると、時代劇までもがドキュメンタリー風味になるんやなーと感心。いい意味で。どんな時代背景や物語になっても、是枝節は健在でうれしい。でもいままでのことを思ったら、多少物語っぽくなってたのは、やっぱり時代劇だからか。かといって、時代劇特有の勧善懲悪でもなく。岡田君×宮沢りえちゃんってなんとなく不思議な組み合わせだと思ったけど、なかなか馴染んでいてよかったな。仇討ちのお話と聞いていたので、暗いのかな?と思ったけどそれほどでもなかったし。地味ではあったけれど、退屈するようなことはなかったし、むしろその先が気になってしかたがなかった。うまいぐあいにばらまかれた伏線が、どんどん拾われていって、なるほどと膝を打つ。これって必要なのかな?と疑問だったシーンも、最後にはきちんと話につながって。憎み続けるということは、とても大変なことだと思う。自分の心だけでなく、周りをも巻き込んで落ちてゆく。どこかで誰かが、その連鎖を断ち切らなければならない。新しいことをはじめるのは、とても勇気のいることだけれど。負を正にする強さ、戦わない勇気、どれもこれも現代においては必要なことなのだと思う。なかなか自分のものにするのは難しいけれど、でもみんながそうなりたいと願えば、もっと優しい世界になるんじゃないだろうか。
長屋の面々が、それはそれは豪華な顔ぶれ。なんだかちょっと吉本新喜劇を思わせる個性とおもしろさ。個性と個性のぶつかり合いのようになるかと思ったけれど、誰もがじんわりと溶け込んでいて。だれが欠けてもあかんのやろなー。それぞれにエピソードがあって、それがちょっと詰めこみすぎのようにも感じたけれど。最後の岡田君の笑顔が、また秀逸。もともとセリフの多い役ではなくて、表情で表現するという感じだったけれど、その表情がどれも絶妙。晴れ晴れしくさわやかだけれど憂いがあって、あの笑顔につきると思った。