黄色い涙

trifle2007-05-23

映画「黄色い涙」の作品紹介
じつは近頃、なぜか友達(男)との中で嵐が熱く、「観に行く?」「観に行こかー!」とノリと勢いで行ってまいりました。なんか最近好きなんです。ARASHI!「なんでか俺、最近嵐が好きなんやあ」というどうでもいいカミングアウトから、周囲でただひとりのジャニファン誕生。ファンってほどでもないような気もするけど、ワイワイ仲良さげな姿がなんか好きらしい。わたしもひそかに同じように思っていたので、そのカミングアウト以来、嵐情報を交換してます。映画もひそかに気になっていたけど一緒に観に行ってくれる人がいない、でもジャニ映画を一人で観に行くのには勇気がいる。というわけで、ほなら一緒に行こかと。レディースデイやし、ジャニ映画やし、ということで、女の子ばっかりなんやわって思ってびびってたら、案外そうでもなく。ご年配の方なんかもいらっしゃって、かなりびっくり。時代背景が昭和なだけに、懐かしく思い観にいらしたんかなあ。
犬童一心監督が、わたしは好きだ。監督のもつ独特の雰囲気と辛辣で淡々とした描写が、じんわりと心に浸みゆく感じが好きだ。しかも、音楽は好きなSAKEROCK。そして、嵐。この好き好きメンツが揃っているわりに、それほど期待をしてなかったのだけれど。なんだかやっぱりアイドルのための映画ってイメージが強くて。だけど、観てみると単なるアイドル映画じゃない。思っていたよりも派手さはなく、淡泊な感じ。生きたことがなければ、見たことのない時代なのに、なんだか懐かしさすら覚えるのは、なぜだろう。SAKEROCKの音楽が、さらに映画に懐かしさを加えている。でも、「ジョゼ」や「ヒミコ」に比べると、アクがない感じがするのがもったいないなあ。もっと犬童さんらしさを出してほしかった。それでも普通の青春映画のように、夢は諦めなければ絶対叶う!って言いきらないところは、さすが犬童さんって感じでよかった。
ストーリーに派手さはなく、淡々と話が進む。青春映画、というと、はちゃめちゃ疾走、爽快感を想像するかもしれない。だけど、この映画はそういった汗光るようなダイナミックなものではない。青春映画特有の、テンポの良さと怒濤のストーリーは皆無といっていい。だけど、実際の青春なんて、きっとそんなもんだ。ダラダラと中途半端で、夢があるけど言い訳三昧、情けなくて不甲斐なくて、でも諦められなくて。それほど抑揚のある日常ではないけれど、それでもみんながいるから楽しい。ひとりじゃないから、おもしろい。はちゃめちゃ青春映画を想像していたら、この淡々と進むストーリーを退屈だと思うだろう。だけど、その退屈さがリアル。青春なんて、いつも退屈だった。でも、みんなといると楽しい。モラトリアム、という時間を怠惰に過ごしてきたひとなら、ああわかる、と思ってしまう。日常、なにがあるわけでもないけど、とりあえず楽しい。そう思える生活が、好きだったのだ。いつかは、そんなモラトリアムから抜け出さなければならないけれど、もうちょっとだけ、もうちょっとだけ、って言いたくなる。追いかけている夢や楽しい時間を終わらせるのって、結構むずかしい。
主役5人の演技は、やっぱりなんだかぎこちない感じがなきにしもあらず。個々の演技力に差があるから、揃うと余計にそう思う。二宮くんが出てくると、さすがに引き締まってみえる。はっとするような表情もさることながら、古くさい机にむかっている背中がなんともいい感じに哀愁漂っていて。背中で演技ができるいい俳優さんだなあと思った。松潤は今回は、いつもの生意気でひねくれてて世の中斜めにみたような役ではなく、真面目で純朴な好青年の役だったんだけれど、こうゆう役も案外いいと思った。でも、松潤ファンは怒るやろうな。あの出番の少なさ。印象も薄いけど、演技はよかったです。以外に相葉くんが演技できててびっくりした。いまいち垢抜けないちょっとアホでほっとけない子。たんに素に近かったというだけなんかもしれへんけど、自然だった。しかしこれ、嵐を主演にする必要性はあったんやろか。違う役者さんでもよかったのでは、とちょっと思う。