鉄コン筋クリート

trifle2007-01-08

映画「鉄コン筋クリート」公式サイト
新年あけまして、鉄コン祭ってきました。松本大洋ファンとともに。はじまるまえから興奮気味で、まだ明るいシアター内に着席し、ポップコーンをほおばり、パンフレットを熟読し、そわそわそわそわ。お互いちらちらと牽制しあいながら、今か今かと上映開始を待つ。松。末。予告がたいそう長く感じられました。
肝心の映画のお話。わたしも友達も原作のファンだったので、じつは期待半分で観に行きました。原作ありきの作品って、ほんと難しいと思う。ファンがコアであればあるほど、その世界観を大事にしているし、見る目がシビアになってくる。前回の「ピンポン」でガッカリしたぶん、またかと思いたくない気持ちもあって。でも、今回のできばえにはほんと満足。原作が好きだからこそ、納得のいく仕上がりだと思う。宝町のレトロで繊細なんだけど大胆な描写。松本大洋の世界をそのまま映像にしたみたいなアニメーションだった。ここまで忠実に再現してもらえるなんて思ってなかったから、なんか尊敬の念を持ってしまう。もちろん、動くクロとシロには感動したけど。しかし、「ピンポン」でファンからは散々言われてたのに、よく映像化したなあ。マイケル・アリアス監督の勇気ある行動に拍手。映像にしろ、ストーリーにしろ、原作を忠実に再現していたのは、監督の松本大洋ファンに対する敬意なんかなあ。もちろん、監督自身が原作が大好きってこともあるんだろうけど。クロとイタチの関係をもすこしなんとかしてほしかったし、終盤のストーリー展開はすこし「??」と思ったけれど、そのことを差し引いても大満足。
声優陣について。わたしは、俳優さんたちが声優もどきなことをすることが、あまり好きではありません。俳優さんたちというのは、形が売りなんだから。声優さんというのは、逆に形がないのが売りだと思う。だからこそ、映像と声から形をいろいろ想像させて、妄想をかきたてるのだ。だから、形ありきの声というのは、受け入れ辛くて。声優はなるべくプロにしてほしいなあというのが本音です。だけど、それでも蒼井優ちゃんのシロには、まいった。蒼井優だってわかっているのに、シロにしか思えない。これには圧巻です。すごかった。蒼井優ちゃんにぐいぐい引っ張られた感じ。
素直に観てよかった。原作ファンのかたも、ぜひ。好きならなおさら、うれしくなっちゃうと思う。