キサラギ

trifle2007-06-20

プラスワン – 【プラスワン】日常のキレイにプラス1するサイト
なんだか、ガハガハと笑いたい気分。だけどそれは、おうちでお笑いのDVDを観るのとはまたちょっと違う。気分転換に笑えそうな映画を観ようと思って。普段、コメディは映画館では絶対観ないのだけれど、設定やらシチュエーションがおもしろそうやし、映画の日やしで観てきた。
自殺したアイドル如月ミキ(酒井香奈子)の一周忌に、ファンサイトで出会った家元(小栗旬)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雅)、イチゴ娘(香川照之)というアイドルオタクの5人が集まった。小さな部屋で、愛する如月ミキのことを楽しく語らいあううちに、「彼女はなぜ自殺したのか?」というひとつの謎から推理がはじまる。ワンシチュエーションサスペンス、というとなんだか小難しそうな感じがするけれど、単純にミステリの舞台を観ているみたい。というか、ほんまに最初は舞台のために書かはった脚本なのね。最初から最後まで、ある小さな部屋で話が進んでいく。本当にずっと同じ部屋。なのに、奥行きや広がりを感じる。カメラワークは結構普通やったので、やっぱり脚本がおもしろいからかな?しかも、登場人物はたったの5人。もちろん、回想シーンには如月ミキやその他諸々も出てくるのだけれど、基本は5人だけ。きっとファンにはたまらないくらいの出ずっぱり。5人という、ほんとうに少ない数字なのに、そうは感じない。
なんだろう、このおもしろさは。今年観た映画の中で、一番だと思うぐらい、おもしろかった。映画館でゲラゲラと声をあげて笑うのは、本当にひさしぶり。劇場が一体化するかと思うぐらい、みんな笑ってた。テンポよく進むのに、なかなか先が読めないから、どんどんのめり込む。テンポの良さももちろんなのだけれど、ストーリーの構成が飽きさせることがない。笑ったかと思えばハラハラしたり、ドキドキしたかと思えばホロリとしたり。感情の移り変わりが忙しくて、本当に飽きる暇もない。めまぐるしく変わる展開が、やっぱり!と思わせたり、そうきたか!と裏切ったり。ところどころにはられた伏線が、数々のどんでん返しをくり返す。ワンシチュエーションなうえに、キャスト5人、限られた時間だからこそ、脚本すげえよ、と単純に思う。こうゆう会話劇は、脚本がおもしろくないと絶対に退屈する。テンポ、ストーリー展開、言葉の選び方、すべてにおいて、完璧だと思った。シリアスなのにコミカル。しかもそのおもしろさが、やりすぎでもないし足りないわけでもない。過不足なくうまいぐあいに満たされている。
キャストは、家元と呼ばれる小栗くんが狂言回しのような役回りなのだけれど、そこへピリ辛の刺激を与えてくれているのが、やはりベテラン香川さん。こうゆうコミカルな役柄もさすがにうまい。最初キモいのにかっこよく見えてくるのが不思議。ひとつの作品の中で、これほどまでに印象が変わる役ってのも、すごいと思う。もちろん、他の俳優さんもすごくよくて。小出くんとか、セリフ回しが絶妙やったなあ。いいなあ、この間。雑魚キャラ的な小判鮫っぷりがむかつくんやけど、愛らしく思えるほど。他の方も、それぞれがすごくはまり役だった。みんな演じるのが楽しくてしかたがないって感じが、すごく伝わってきた。
最後の最後、ええ!それ出しちゃうの!とも思える如月ミキの素顔。普通なら最後までぼかしたままでいくと思いつつ、いい意味で裏切られた。ここ、きっと賛否両論やろうけど、わたしは出してくれてよかったな。そりゃ、売れへんわ!って感じのD級っぷりが笑えた。こうゆうのもそうだし、他にもちらほらとみられるベタなツッコミ待ち、けっこう好きなので。エンディングロールいっぱい楽しませてくれるところも、すばらしく。かつ、キャスト陣もすごく楽しそうで。ダンスの振り付けがラッキー池田って知って、なんかうれしかった。ちょっと古くさいキモイ感じが、秀逸。さすが。みんなが濁声張り上げ、力いっぱい踊る姿は、まぎれもなくアイドルオタクの集団だった。