スロウ/南Q太

スロウ (Feelコミックス)

スロウ (Feelコミックス)

最近の南Q太の作品はあまり好きではなかったのだけれど、これは案外好きかも。や、別に百合のお話が好きってわけでなくて。17歳の痛さというか、愚かさというか、そうゆうダメな部分がすごくリアルで、なんかわかるなあと、思うのです。自分だってそうだったけど、たぶん誰だって十代のころはめちゃめちゃ痛いんだと思う。今思うと、真剣に葬り去りたいぐらい赤面しちゃう過去だったりする。でも、経験済みだからこそ、あの頃は若かったと、今思えるわけで。大人の痛さは見ていられないけれど、子供の痛さは微笑ましく思える、あの心境。若かった、で許される可愛さが、あるんだと思う。まあ、程度によるけれど。そんな微笑ましさと切なさが絶妙で、幸せなような不幸せなような、恋することの難しさがじょうずに表現されている。
しかし、南Q太はほんとうにプライベートに左右される漫画家さんだと思う。そのときどきで、作品の雰囲気が変わる。そしてそれが、如実に作品に現れる。それによって、好きになったり嫌いになったりしてしまうのです。だから、この頃は結構落ち着いてらしたのかな?なんか、しっかり基盤がある感じ。